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産休・育休の言葉事典

制度の説明が読みにくいのは、ほとんどが用語のせいです。 「標準報酬月額」「支給単位期間」が分からないまま金額だけ見ても、 どこを直せば増えるのかが見えません。ここではその言葉を1つずつ開いています。

標準報酬月額

ひょうじゅんほうしゅうげつがく

毎月の給料を50段階の区切りに当てはめた額。保険料と出産手当金の計算はこれで行う。

実際の給料そのものではなく、5万8千円から139万円までの50段階(等級)のどれかに当てはめた額です。たとえば月収が29万円でも30万5千円でも、標準報酬月額はどちらも30万円になります。

健康保険料・厚生年金保険料・出産手当金は、すべてこの額を元に計算します。給与明細や、毎年秋ごろに会社から渡される「標準報酬決定通知書」で確認できます。

通勤手当や残業代も含めた額で決まります。基本給だけではありません。

被保険者と被扶養者

ひほけんしゃとひふようしゃ

自分の名前で保険に入っているか、誰かの扶養に入っているか。出産手当金の有無がここで分かれる。

被保険者は、自分の名前で健康保険に入っている人です。給与から健康保険料が引かれています。

被扶養者は、家族の健康保険に入れてもらっている人です。保険料は引かれていません。

出産育児一時金はどちらでも出ますが、出産手当金は被保険者にしか出ません。ここを取り違えると、入る予定の金額が数十万円ずれます。

健康保険証を見て、あなたの名前が「被保険者」の欄にあるか「被扶養者」の欄にあるかで判別できます。

第1号被保険者

だいいちごうひほけんしゃ

国民年金に自分で加入している人。自営業・フリーランス・学生・無職が当てはまる。

年金の加入者は3種類に分かれています。第1号は自営業・フリーランス・学生・無職の人、第2号は会社員・公務員、第3号は第2号に扶養されている配偶者です。

産前産後の保険料免除と、令和8年10月に始まった育児免除は、第1号被保険者だけの制度です。会社員は厚生年金の免除のほうが使えます。

自分がどれかは、毎年届く「ねんきん定期便」か、国民年金保険料の納付書が自宅に届いているかで分かります。

休業開始時賃金日額

きゅうぎょうかいしじちんぎんにちがく

育休に入る前6か月の給料の合計を180で割った額。育児休業給付金の計算の元になる。

育児休業を始める前の6か月間に支払われた賃金の総額を、180で割った額です。おおまかには月収を30で割った額と同じになります。

この額に30日を掛けたものが「休業開始時の賃金月額」で、上限49万6,200円・下限9万6,090円(令和8年8月1日から)の枠に収まるよう調整されます。

賞与(ボーナス)は含みません。含まれるのは毎月支払われる賃金だけです。

支給単位期間

しきゅうたんいきかん

育児休業給付金を計算する30日ごとの区切り。育休開始日を起点に数える。

育児休業給付金は、育休を開始した日から30日ごとに区切って計算します。この30日のかたまりが支給単位期間です。

申請は2か月ごと(支給単位期間2つぶん)にまとめて行うのが一般的です。そのため入金も2か月ごとになります。

支給率が67%から50%に下がる「180日」も、暦の月ではなく育休開始日からの日数で数えます。

産前産後休業

さんぜんさんごきゅうぎょう

出産前42日と出産後56日の休み。産後は本人が希望しても働けない。

産前休業は出産予定日以前42日(多胎妊娠は98日)で、本人が請求して取ります。請求しなければ働き続けることもできます。

産後休業は出産の翌日から56日で、こちらは労働基準法で就業が禁止されています。本人が働きたいと言っても働けません(産後6週間を過ぎて本人が請求し、医師が認めた業務に限り例外があります)。

この期間は育児休業ではなく産前産後休業なので、育児休業給付金ではなく出産手当金の対象です。

出生時育児休業(産後パパ育休)

しゅっしょうじいくじきゅうぎょう

子の出生後8週間以内に最大4週間取れる、通常の育休とは別枠の休業。

子の出生後8週間以内に、最大4週間(28日)まで取れます。2回に分けて取ることもできます。

通常の育児休業とは別枠なので、産後パパ育休を取ったあとに改めて育児休業を取ることができます。

給付は「出生時育児休業給付金」で、支給率は67%です。上限は31万290円(令和8年8月1日から)。

配偶者と合わせて14日以上取ると、出生後休業支援給付金の13%上乗せの条件を満たします。

直接支払制度

ちょくせつしはらいせいど

出産育児一時金50万円が健康保険から病院へ直接払われるしくみ。手元には入らない。

出産育児一時金の50万円を、本人を経由せず健康保険から医療機関へ直接支払う制度です。ほとんどの病院が採用しています。

この制度を使うと、退院時に窓口で払うのは「出産費用 − 50万円」だけで済みます。まとまった現金を用意しなくてよいのが利点です。

ただし50万円が手元に入ってくるわけではありません。産後の生活費として50万円を当てにしていると計算が合わなくなります。

出産費用が50万円より安かった場合は、差額を健康保険に請求して受け取れます。

特別徴収と普通徴収

とくべつちょうしゅうとふつうちょうしゅう

住民税を給与天引きで払うか、自分で納付書で払うか。休業に入ると後者に変わることが多い。

特別徴収は、住民税を給与から毎月天引きして会社が納める方法です。働いている間はこちらです。

普通徴収は、自宅に届く納付書で自分で納める方法です。年4回(6月・8月・10月・翌1月)か一括で払います。

休業に入って給与が止まると天引きができなくなるため、普通徴収に切り替わることが多く、まとまった額が一度に請求されます。会社が立て替えて復帰後にまとめて天引きする方式を取る場合もあるので、勤め先に確認してください。

育児時短就業給付金

いくじじたんしゅうぎょうきゅうふきん

復帰後に時短勤務で働くとき、下がった賃金の10%が支給される。令和7年4月から。

2歳未満の子を養育するために時短勤務をして、賃金が下がった場合に、時短中の賃金の10%が支給されます。

令和7年4月1日に新しくできた制度です。復帰後の話なので産休・育休中の家計には出てきませんが、復帰の判断材料になります。

支給限度額は48万4,121円(令和8年8月1日から)。時短中の賃金がこの額以上のときは支給されません。最低限度額は2,562円で、計算した額がこれを超えないときも支給されません。

月末要件

げつまつようけん

社会保険料の免除は「月末時点で休業しているか」で決まる。復帰日を1日ずらすと1か月分変わる。

社会保険料が免除されるのは、その月の末日時点で産休・育休を取っている月です。月の途中で復帰すると、その月は免除されません。

例外として、同じ月のうちに14日以上の育児休業を取った場合は免除されます。

そのため、復帰日を月初にするか月末にするかで、免除される月数が1か月変わります。標準報酬月額30万円なら約4万2千円の差です。

育児休業の延長

いくじきゅうぎょうのえんちょう

保育所に入れないなどの事情があれば1歳6か月、さらに2歳まで延ばせる。書類が要る。

原則は子が1歳になるまでですが、保育所等の利用申込をしたのに入所できなかった場合などに、1歳6か月まで、さらに2歳まで延長できます。

延長には市区町村が発行する「保育所等利用申込に対する不承諾通知書(入所保留通知書)」などの書類が必要です。あとから遡って用意することはできません。

延長した期間の給付率は50%です(180日を過ぎているため)。

令和7年4月から、延長の申請時に「速やかな職場復帰のために保育所等の利用を希望していること」の確認が厳しくなりました。入所を意図的に避けた申込は認められません。

多子加算(第3子以降)

たしかさん

児童手当の第3子以降が月3万円になる仕組み。上の子が数から外れると額が下がる。

児童手当は、第3子以降が年齢を問わず月3万円になります。第1子・第2子は3歳未満で1万5千円、3歳から高校生年代までは1万円です。

「第3子以降」は、こどもとその兄姉のうち年齢が上から3人目以降を指します。

上の子が対象年齢を外れると数え直しになり、下の子が第3子から第2子に繰り上がって月3万円から1万円に下がります。数え方は変更が検討されているので、市区町村の案内で確認してください。

資格喪失後の継続給付

しかくそうしつごのけいぞくきゅうふ

退職しても条件を満たせば出産手当金を受け取り続けられる仕組み。退職日に出勤すると崩れる。

退職日までに継続して1年以上健康保険の被保険者だったことと、退職日に出産手当金を受けているか受けられる状態であることの両方を満たすと、退職後も引き続き受け取れます。

退職日に出勤してしまうと「受けられる状態」でなくなり、この継続給付が受けられなくなります。最終出社日と退職日は分けてください。

出産育児一時金についても、退職後6か月以内の出産であれば、以前入っていた健康保険から受け取れる場合があります(現在加入している保険との二重受給はできません)。

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